学校プール廃止へ調査 「佐倉モデル」構築に期待 先行の民間委託は好評 【ちば最前線 佐倉支局長・平口亜土】

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佐倉市が導入している民間スイミングクラブによる小学校の水泳授業。好評なことから、民間活力を活用した学校プールの全廃・集約化を検討する
佐倉市が導入している民間スイミングクラブによる小学校の水泳授業。好評なことから、民間活力を活用した学校プールの全廃・集約化を検討する

 佐倉市は本年度、市内の全小中学校のプールについて、廃止の可能性を調査する。市民プールを共同利用するとともに、水泳授業に民間委託も活用し、施設のライフサイクルコストの削減や指導の質向上を図る狙い。人口減社会において公共施設のあり方が問われる中、調査の行く末が注目される。

 調査対象は、小中学校のプール32カ所と市民プール2カ所。公募型プロポーザルで市が選定した事業者が調査を実施し、来年1月末までに報告書をまとめる。市はその後、調査結果を踏まえて、学校プール再編基本計画の策定を目指す。

 検討される再編後のイメージはこうだ。岩名運動公園と上座総合公園にある屋外型市民プール2カ所をPFIなどの手法で通年利用できる屋内型の温水プールへと改修する一方、学校プールを廃止。水泳授業の質の向上を図るため、指導を民間に委託し、学校とプール間の児童・生徒の移動は送迎バスで行う。

 調査では、再編に伴うコスト総額を試算。学校プールを存続させる場合に見込まれるコストと比較し、事業の実現性を検証する。

 市の試算では、今後30年間のコストは現状維持の場合の31億1千万円に対し、民間委託の場合は17億5千万円と、大幅に圧縮される。ただし、これは市民プールの屋内・温水化などのコストは考慮されておらず、調査では、より詳細な試算が行われることになる。

 市が再編を検討する背景には、プールの老朽化が著しいことがある。市によると、小中学校のプール、市民プールとも平均築年数は30年を超す。また、いずれも屋外プールで利用が天候次第であること、利用期間が夏場の2カ月だけで他の期間は遊休化してしまうことも課題に挙げられる。

 これらの解決に乗り出す前に、市には2小学校で先行事例があった。2013年度に佐倉小、14年度に西志津小のプールをそれぞれ廃止し、市内の民間スイミングスクールに水泳指導を委託。学校プールを改修して使い続けるのと比べ、30年で約9千万円のコスト削減につながることになった。

 委託後のアンケートでは、児童の98%が「水泳学習が楽しかった」、85%が「泳ぎが上手になった」と回答。「充実した指導で泳力が身についた」「天候に左右されず実施できて良い」などと保護者からも総じて好評だった。全校のプール再編が実現すれば、こうしたメリットを享受する市民が増えていくことになる。

 ただ、超えなければならないハードルもある。全学校の水泳授業が市民プール2カ所の容量では対応しきれない恐れがある。その場合、近隣市のプールと連携する必要性が生じる。

 いずれにせよ、少子化と人口減が進む中、既存の学校施設が過剰となる傾向は同市だけにとどまらず、全国的に共通する課題。調査により、他の自治体でも活用可能な「佐倉モデル」が構築されるよう期待したい。