チバニアン、地域への影響 観光地、学習の場にも 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

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崖の脇に設けられた階段
崖の脇に設けられた階段
駐車場にできた売店
駐車場にできた売店

 チバの地名が地球の歴史に時代名として使われる見通しとなったこと、地磁気逆転という言葉が科学への興味を刺激したこと、多くの人々が一度は見ておきたいと感じたことなどから、チバニアンへの関心は依然高く、見学者が多く訪れています。それが地域にどのような影響を与えているでしょうか。

 現地を訪れるための公共交通機関は小湊鉄道しかありません。JRから乗り換える五井駅には「チバニアンへ行こう」のポスターが掲示され、現地までのルートや状況を伝える写真が張られていた。その前で足を止めている人を多く見かけますし、その掲示の近くで販売されている駅弁の売り上げも増えたということです。さらにJRの「駅からハイキング」のコースとしての紹介もされました。

 小湊鉄道とのコラボは他にも進んでいます。例えば観光用に週末を中心に運行しているトロッコ列車が新たに最寄りの月崎駅に停車するようになり、無人駅だった月崎駅にトロッコ運転日には駅員が配置されるようになりました。それに合わせ、これまでの小湊鉄道作成のチバニアン解説パンフレットに加えて、トロッコ列車運転区間にチバニアン現地がわかる地図も配布されています。

 現地入口ではこれまでは田淵会館という地域の集会所前に車を止めていたのですが、市原市が普通車なら40~50台ほど止められる駐車場を整備しました。現地見学者の7~8割は車利用だと思われるので、大変便利になりました。ただ、駐車場へのアクセス道路が狭いのが課題です。

 駐車場には市が作成した解説パンフと付近の観光案内地図も置かれています。そしてこの駐車場に売店がオープンし、飲み物や季節の山菜、地元産のお米なども並んでいます。駐車場から現地の川原までは急坂を下り、帰りにはそれが登りになるので、仮設トイレと休憩施設ができたことは見学者にとっては利用価値が高いです。

 現地の見学者用解説の状況は、崖の脇に階段が設置され、77万年前の白尾火山灰層を近くで見られるようになりました。ただ、付近の解説板が以前からここを研究している方々と今回のチバニアン申請グループとの微妙な関係を強調しすぎていることが気になります。そしてこのことが、国際学会での審査を中断することにつながってしまいました。

 将来的にはビジターセンターのようなものを設け、誰にとってもよい学習の場となることが最も望まれますが、そう簡単なことではありません。

 新たな「観光地」が出現することによって地域の様子はどんどん変わっていきます。今後も継続して見学者が訪れるかどうかが一番大きな課題です。

 チバニアンの地層が天然記念物の指定を受けることになり、国際学会での審査も再開されましたが、最終決定までにはまだ時間がかかるようです。早く決まればという気持ちとともに、今後の各会議での決定ごとに、またマスコミで話題になることが見学者増加につながるのではないかとも思います。

(秀明大・敬愛大非常勤講師 鎌田正男)