両親殺害、長男に無期求刑 千葉地検「極めて残虐」 印西放火殺人公判

  • LINEで送る

 昨年7月、印西市岩戸の建築関係会社「篠田興業」から出火し70代の夫婦の焼死体が見つかった事件で、殺人と現住建造物等放火、覚せい剤取締法違反の罪に問われた、長男で同社役員、篠田卓良(たかよし)被告(48)の裁判員裁判の第5回公判が20日、千葉地裁(楡井英夫裁判長)で開かれ、検察側は「極めて危険で残虐な犯行」などとして、卓良被告に無期懲役を求刑。弁護側はあらためて放火殺人について無罪を主張し結審した。判決は28日。

 起訴状などによると、昨年7月上旬~14日ごろにかけて、県内または周辺で覚醒剤若干量を使用したほか、同日午後5時45分ごろ、木造2階建て社屋兼住宅(延べ床面積198・21平方メートル)内で、殺意を持って、1階6畳和室の畳の上にいた父親で同社員、浩一さん=当時(75)=と母親で同社役員、弘子さん=同(70)=にガソリンをまいて持っていたライターで火を放ち、家屋約151平方メートルを焼損するとともに2人を焼死させて殺害したなどとしている。

 論告で検察側は、「肋骨(ろっこつ)が折れるほどの暴行を加えた上、父親から『ガソリンだけはやめてくれ』と懇願されたのを無視して直接ガソリンをかけ、ライターで火を付けた」とし「極めて危険で残虐。短時間で室内を火の海にした悪質な犯行」と指摘。

 さらに「育て上げてきた息子から暴行を受け、生きながらにして火を付けられて焼死させられた。突然命を絶たれた2人の無念さは察するに余りある」と述べた。覚醒剤の犯行への影響については「会社の経営で口論となり、日ごろから怒りを強めていた。怒りの発生に一定程度の影響を及ぼしたに過ぎず、完全責任能力があった」と主張した。

 弁護側は最終弁論で「和室は気化したガソリンが充満していた。卓良被告はガソリンをまき、模造刀を振り回し、暴力を振るって動き回り、ライターの試しづけもした」とした上で「一瞬火花が散れば火災になる。遠くから試しづけして発生した失火といえ、意図してライターで火を付けたことには疑問が残る」と述べた。

 覚醒剤の影響については「2015年以降、覚醒剤による影響で両親に対する強い被害念慮があった」とし「目的は『自分を燃やしていないか』と両親に問い詰めることで、放火行為ではない」と指摘。「覚醒剤による急性中毒症状による圧倒的な影響下で行動に及んだ」と、放火殺人についての無罪を主張した。

 いずれも黒のシャツと上下スーツ姿で出廷した卓良被告は、最終意見陳述で「私は自ら火を付けて放火殺人はしていない。それを信じてください」などと述べた。