快挙に沸く地元木更津 長女章子さん「信じられない」 友人ら祝賀会準備 若竹さん芥川賞

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若竹さんの業績を紹介する掲示の前で芥川賞受賞を祝福する友人たち=17日、木更津市

 木更津市在住の主婦、若竹千佐子さん(63)が文学界の最高峰・芥川賞に選ばれてから一夜明けた17日、地元では家族や友人たちが「おめでとう」と快挙を祝福した。知人や書店を回って作品を紹介するなど若竹さんを応援してきた友人たちは、偉業をたたえようと大規模な祝賀会を開く考えだ。市内の書店では早速、特設コーナーを作って受賞作をPR。木更津在住の芥川賞作家の誕生に歓喜が広がった。

 「うれしくて、信じられない」。受賞が決まった16日夜、若竹さんと一緒に都内の出版社で吉報を待っていた長女の章子さん(29)は、歓喜に沸いた瞬間を振り返った。隣に座る若竹さんの携帯電話が鳴り、快挙が伝えられると、出版関係者が集まった一室は祝福ムードに包まれた。

 受賞作「おらおらでひとりいぐも」は、夫に先立たれた主人公が孤独や喪失感と向き合う姿を描く。章子さんは「力強くて熱量がある作品。受賞する」と確信していた。大学2年の時に父が亡くなり、悲しみに暮れる母の姿を見てきただけに、「あの時の思いがあったから書けたのでは。本当に良かった」と改めて喜びをかみしめた。

 若竹さんの知人からも祝福の声が上がった。木更津市の主婦、森脇加代子さん(73)は「自分のことのようにうれしい」と友人の快挙を手放しで喜んだ。

 森脇さんらは昨年12月、同作品の文芸賞受賞を受け、知人ら約30人が参加するお祝い会を開催。書店や公民館に出向いて作品を紹介して回り、若竹さんの偉業を後押しした。森脇さんらは、前回よりもさらに大規模な祝賀会を開こうと準備を進める。

 三十年来の知人という山下紀世美さん(68)は「木更津市だけでなく、千葉県にとってもうれしいこと」と称賛。気さくで明るい性格の若竹さんは、日常の出来事を何十冊ものノートに書きつづっているといい、「本当に書くことが好きな人」と感心する。

 作品は、誰もが経験する「老い」がテーマ。友人の一人、古下美根子さん(69)は「私たちが向かう老いへのチャレンジ。自分たちも今後どう年をとるか不安で、その応援になる」と感想。身近な人が成し遂げた快挙とともに、作品の内容にも勇気をもらっている様子だった。