聖地の“ラストサマー” 千葉県野球場 名勝負見つめ半世紀 老朽化、8月から改修 【100回目の夏 白球を追って】

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高校野球ファンから“天台”の愛称で親しまれる県総合スポーツセンター野球場=5月4日、千葉市稲毛区

 千葉県高校野球の聖地の一つ、県総合スポーツセンター野球場(県野球場、千葉市稲毛区)が8月から大規模改修に入る。建設から50年が経過し老朽化が進展。耐震補強とともに、グラウンドを世界基準の公認野球規則を満たす広さに拡張する工事を行い、2020年に新球場へと生まれ変わる。半世紀にわたって数多くの名勝負の舞台となり、房総球児たちの歓喜と悲哀を見つめてきた県野球場にとって、あす11日に開幕する第100回全国高校野球選手権記念東千葉・西千葉大会が現在の姿で行われる最後の大会。100回目の夏、県野球場の“ラストサマー”が始まる。

■50回大会から使用

 県野球場(両翼92メートル、中堅120メートル、収容2万7千人)は1968年7月に完成した。こけら落としが50回の記念大会の開会式。県高野連の記念誌「熱闘千葉」によると、工期は遅れ気味だったようで昼夜兼行の突貫工事で開会式に間に合わせたという。

 当時の県高校野球界は千葉商、習志野、銚子商の「ビッグスリー」が覇を競い、人気、実力とも全盛期。前年全国優勝を果たした習志野と春夏連続甲子園を狙う銚子商が顔を合わせた同大会準々決勝は「観衆がスタンドにあふれ異様な雰囲気で始まった」(同誌)。決勝は千葉商が銚子商を破り、県野球場で初めて優勝旗を掲げた。

■篠塚さんも「憧れ」

 74年の第56回大会決勝は銚子商が市銚子を破り、その勢いのまま全国の頂点へ。優勝メンバーでプロ野球巨人で活躍した篠塚和典さん(60)は「僕たちの時代、県野球場で試合をするのが憧れだった。うれしいことも悔しいことも味わった場所」と感慨深げに振り返る。翌75年の第57回大会は習志野が準決勝で篠塚さん擁する銚子商を破り優勝。全国も制し県勢連覇の偉業を成し遂げた。

 その後、私学勢が台頭する中、メイン球場が千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム、千葉市美浜区)に移る前年の89年、県野球場最後の決勝で校歌を歌ったのが伝統校の成東。絶対的エース、押尾健一さん(47)=元プロ野球ヤクルト=が拓大紅陵を完封し、決勝・代表決定戦計9度目の挑戦でついに悲願を達成した。

 主将だった行木泰弘さん(46)=東金市職員=は「スタンドの8割は成東ファン。『あと1人で甲子園』と観客から声が掛かった瞬間、鳥肌が立った。押尾が三振を奪った瞬間に一瞬球場が静まりかえり、その後に大歓声が上がった。閉会式で(当時高野連会長で元成東監督の)松戸健先生から受け取った優勝旗はすごく重かった」と懐かしむ。

■個席シートに変更

 球児たちの汗と涙が染みこんだ県野球場も老朽化が進む。耐震強度に問題を抱えることから、県は8月から初めての大規模改修を実施。工事中は使用できず、今夏の大会が現在の姿の見納めになる。

 県教委体育課によると、新球場は耐震補強を行うとともに、現在はベンチシートの内野席を個席シートに変更する。スコアボードはLED化され、エレベーターを新設。車いす対応の障害者用観覧席を設置するほか、トイレなどの内装も一新する。

 グラウンドも公認野球規則に合致するよう両翼を98メートルに、センターを122メートルにそれぞれ拡張。水はけも良くなるが、ナイター照明設備の設置は見送られた。県は総事業費として約30億円を見込み、工期は2020年1月末まで。外野の芝の養生を経て、新球場はこの年の高校野球春季県大会でお目見えする予定だ。